ながさきの木

ながさきの木ってどんな木

“ながさきの木”と言っても、どんな木なのか分からないと思いますので説明します。

長崎の森林面積は243,589haあります。これは長崎県の土地総面積409,244haの約60%を占める広さになります。
長崎の森林の約9割にあたる218,299haは民有林となっており、その約4割にあたる90,901haが人工林です。
人工林は戦後の木材需要の高まりに応えるために、人間が木の苗を、手で植えて、大切に育ててきた森林のことです。
その樹種は、ヒノキが58,970haで人工林の65%を占めて最も多く、スギが29,293ha(32%)、クヌギ994ha(1%)、マツ1,361ha(1%)などから構成されています。

’ながさきの木’とは、長崎で育ったすべての木のことですが、ここでは特に、人間が大切に育ててきた人工林の97%を占める’ヒノキ’と’スギ’のことを指します。

ヒノキの特徴と適材適所

ヒノキは材質が緻密で色調が良く、加工性に優れ、また、シロアリや木材腐朽菌に対する耐久性に優れているので、古くから家屋や神社仏閣などの建築用材として利用されています。木口を見ると芯材と辺材の差があまり目立たない、控えめな表情をしています。辺材は黄色っぽい白色で、芯材は淡い桃色。美しい艶のある木肌は緻密で、独特の香気を放ちます。ヒノキの香りは日本人の生活に最も密着した木材の香りの1つです。

耐久性に優れたヒノキは、家の各所に用いられますが、特に建物の寿命に影響する柱や土台に最適です。
緻密な年輪はかたく、虫がつきにくい成分も含有し、芯材は耐久性の高さでも知られています。
「ひのき風呂」も、ヒノキの耐久性を活かした使い方です。また、加工性にも優れ、丈夫で美しい木目は内部造作材や家具、工芸品にも用いられています。
(「木の家に住むことを勉強する本」農文協より引用)

スギの特徴と適材適所

古くから日本人が身近な素材として有用してきたスギは、生長が早いことから、戦後各地で大量の植林が行われてきた代表的な樹種です。
スギの名は「直ぐ」「直ぐなる」からきているともいわれるように、ほぼ円形の樹幹が大地から真っ直ぐに伸びます。
その素直さが表れた木目は、早材と晩材の差が明快で、やわらかい木肌は加工がしやすいのが利点です。
芯材と辺材の差がはっきりしていて、辺材は淡い黄色を、芯材は濃い桃色をしたものが多く源平と呼ばれる赤みと白太が縞模様になった材も取れます。

ヒノキに比べてやわらかなスギは、以前は、柱に使えても梁にはたわむので使えないと考えられていました。
しかし、近年の調査研究により強度の確かなすぎは、柱は梁などすべての構造材に、床板や天井板などの内装材、建具材にまるごと利用できます。
ただし、土台だけは、ヒノキやクリ、ヒバなどのかたい材が向き、スギの場合は、必ず赤みの芯持ち材を用います。
(「木の家に住むことを勉強する本」農文協より抜粋)