ながさきの木を使って、街に森づくり

木を使えば、二酸化炭素が減る

木材は、含まれている水分を除くと、その重さの約半分が炭素です。この炭素は、樹木が大気中の二酸化炭素を吸収していろいろな化学成分として木材の形にして固定したものです。

持続的林業や農業で採取された木材や農作物が燃やされたり食べられたりして二酸化炭素を放出しても、地球温暖化の原因とされている大気中の二酸化炭素濃度の上昇にはつながりません。それは次の年にその森林や農地で同じ分の二酸化炭素が吸収固定されることが保証されているからです。つまり元々大気中に存在する炭素が循環しているだけなのです。

それでは、持続的林業から得られた木材で住宅や家具をつくって何年も使い続けるということはどういうことを意味しているのでしょうか。森林では毎年二酸化炭素を吸収して木材が生産されます。しかし住宅や家具の木材中の炭素は大気中に戻っていきません。ということは、使われている木材分の炭素は大気中から取り除かれているということになります。木材利用では、住宅や家具といった人に有益な形で同時に炭素固定を行っているわけです。(引用:ウッディライフを楽しむ101のヒント(社)日本林業技術協会)

街はもう1つの森

ここで木造住宅が建ち並んでいる土地1・にどのくらいの炭素が固定されているのか試算してみます。道路や公園緑地の面積として40%とると、宅地は6,000・です。1軒当たりの土地を100・とすると60軒建つことになります。家は二階建てで床面積100・、木材の使用量を床面積1・当たり0.2・とします。木材中の炭素量は絶乾比重を0.5としてその半分ですから1・当たり0.25・になります。これらを掛け合わせると1・の土地に300・の炭素が固定されていることになります。(住宅数)60軒/・×(床面積)100・/軒×(木材使用量)0.2・/・×(木材中炭素量)0.25t-C/・=(炭素固定量)300t-C/・

この炭素貯留量は、日本の森林の炭素貯留量の平均が1ha当たり35トンであることから考えると、住宅地は森林以上に炭素を効率的に貯めています。

木の生えていない土地に新たな森林ができると、その分、大気中の二酸化炭素が減ります。住宅のような木材製品が増えると”街に森”が造成されたのと同じことになるのです。(引用:ウッディライフを楽しむ101のヒント(社)日本林業技術協会)

木材はエコ素材

建物をつくるには木造以外に鉄骨鉄筋コンクリ-ト(SRC)、鉄筋コンクリ-ト(RC)、鉄骨(S)などさまざまな工法がありますが、同じ1・を建てるのに要する炭素排出量、つまりエネルギ-消費は木造が最も小さい値になっています。他工法の建物を建てる代わりに木造にすると省エネになるわけです。

日本で1年間に建てられる建物のうち、他工法の3階建て以下のものを全部木造にしたとしたら、木造との差分がいらないことになり、300万・以上のエネルギ-消費に伴う炭素排出を削減できるという試算があります。

さらに、大事なことは、家を建てたら長く使うということです。20年ごとに建て替えるのと100年使うのとでは、前者が5回建てる間に後者なら1回で済むわけで、建築に伴うエネルギ-消費は5倍違うことになります。木の家に長く住むことが地球環境のためになるのです。

そのくらい資源を使い、その生産に要したエネルギ-からどれだけの炭素が放出されているかを、工法別に比べると、炭素の排出量でみると、在来木造が59kg/・、SRC造156(差分97)kg/・、RC造が133(差分74)kg/・、S造が85(差分26)kg/・となり、いかに木造住宅が少ないかが分かります。(引用:ウッディライフを楽しむ101のヒント(社)日本林業技術協会)

ながさきの木を使うことは、地球に優しい消費選択

「ウッドマイルズ」ってご存じですか。これは木材の輸送距離と木材の量を乗じて得られた指標のことで、木材の輸送過程のエネルギ-消費を少なくして、顔の見える経営を実現しようとする考え方のことです。

世界の木材貿易の国別輸入量では米国がトップですが、輸入距離と輸入量によりウッドマイルズを計算すると日本は米国の4倍となり、日本の木材消費者にとってウッドマイルズの意味は大きいのです。

日本国内の平均的新築住宅の建築で使用されている木材の産地別使用量から住宅ウッドマイルズを計算すると、146万km・・となります。これを100として、それぞれの住宅建築のウッドマイルズの値を指数化すると、近くの山の木ですべて建築した住宅は「1」となり、全部北米材で建築した住宅は「150」となります。

家づくりという一生に1度か2度の重要なイベントの機会に、「ながさきの木」を利用することの意義を確め、地球環境に優しい消費選択を行っていきましょう。(引用:森林総合研究所 藤原敬 木材情報2002年8月号)

森林と循環型社会

地球環境保全や持続的発展には、資源を守るだけではなく、資源を自らつくり出し、それを利用するということが、大切なはずです。木材のことでいえば、国土の森林面積には限りがあるのですから、伐採して、また新しく植林していかなくては循環資源とはなりません。

本来、森林はそこに生きる生物の命を守り、水源かん養などの恵みを得るために保護するべき森林と、持続的な木材生産を担ってくれる森林が共存・共生すべきなのです。

森林が資源生産を担う力を失ってしまった循環型社会などはありえません。同様に、森林が環境保全の機能を失っても存続する循環型社会もないのです。(引用:「木の家に住むことを勉強する本」農文協)